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ーエアー遊具で起きた事故事例4つ|安全に使用するための注意点ー
商業施設などでよく見かけるエアー遊具。イベントのアイキャッチとしても効果が高く、子どもに人気の販促アイテムです。
しかし、取り扱い方や悪天候によって痛ましい事故につながる可能性も否定できません。これまで起こったエアー遊具での事故事例を紹介するとともに、安全に使用するための注意点を解説します。
これまで起きたエアー遊具での事故事例4つ
エアー遊具での事故は、国内外で起こっています。いずれも骨折や溺水など見過ごせない大きな事故で、その被災者はほとんどが子どもです。
さまざまあるエアー遊具の事故から、今回は4つ事例を取り上げて解説します。過去に起こった事故を教訓に、安全にエアー遊具を使用するための対策を講じましょう。
大型ウォータースライダーでの事故
2023年8月5日、千葉市の稲毛海浜公園内のプールに設置されたエアー遊具で、男子小学生が左ももを骨折するという事故がありました。プールに設置されていたエアー遊具は、ウォータースライダータイプのもので、高さ9.6m長さ28mある大型エアー遊具です。
スライダー終了部分に空気が詰められた緩衝材が設置されていましたが、そこに衝突した際に骨折したとみられています。流す水の量が多く、想定より滑走時にスピードが出てしまったことが発生原因でした。その後、斜面に常に流水した状態では使用しないよう注意喚起がなされました。
突風による事故
オーストラリアでは、2021年に小学校に設置されたエアー遊具が突風で飛ばされ、遊んでいた児童が転落してしまう事故が発生。約10mの高さから転落したとみられ、亡くなった児童もいました。
一般社団法人「日本エア遊具安全普及協会」、通称JIPSAが策定した「安全運営の10ヶ条」によると、屋外での運用の場合、風速計の設置が必須となっています。メーカー規定のウェイトか杭を必ず使用してエアー遊具の浮き上がりを防止することが決まりです。
また、JIPSAの風速基準ガイドラインによると、瞬間風速が8m/sを超えるといつでも運営を中止できるよう準備し、10m/sを超えた段階で即運営中断と定められています。
プール上に設置するアスレチック型エアー遊具での事故
2019年には、東京都の遊園地としまえんで溺水事故がありました。プール上に設置されるアスレチック型のエアー遊具で遊んでいた児童が、ライフジャケットを着用していたにも関わらず溺れてしまうという痛ましい事故です。
原因を究明したところ、入水した際、エアー遊具の下部に入り込んでしまい、ライフジャケットの浮力が邪魔をして抜け出すことが困難だったのではという見解にいたりました。命を守るために必要なライフジャケット。今後はプールの水深を浅くしてエアー遊具の下に入り込まない工夫などが求められています。
ボールプールの出入口網での事故
安全そうなボールプールでも過去に事故が発生していました。2011年に、千葉市の遊戯施設でボールプールから出ようとした幼児が、出入口に設置されていた網のほつれに指が絡まってしまったという事故です。
ほかにも、エアー遊具をふわふわに保つための送風機に指を入れてしまい、切断してしまう事例も。エアー遊具とともに使用する機械についても、安全点検の大切さが痛感される事故です。
エアー遊具を使用する際の注意点
上記のような事故を起こさないために、エアー遊具を使用するときの注意点を、設置時・運営時・遊具の寿命に分けて解説します。
設置するとき
エアー遊具を設置するときは、実施経験者を1名以上配置するようにしましょう。入念なリハーサルも事故防止対策には欠かせません。
また、エアー遊具に送風機を取り付ける際は、しっかり奥まで被せましょう。正しく送風できていないと、エアー遊具の特徴でもあるふわふわ感がなくなってしまい、衝撃に耐えられなくなる可能性があります。
突風に備えた準備も大切です。エアー遊具には設置するウェイトの数がそれぞれ決まっています。自己判断で数を減らしたり規定とは違う重りを使用したりするのは危険です。
運営するとき
エアー遊具は商品によって対象年齢が決まっています。子どもが安全に楽しむためにも、年齢確認はきちんと行いましょう。
アクセサリーやポケットのなかのものが事故の原因になる可能性もあります。眼鏡やコンタクトレンズの有無も確認が必要です。
屋外での運営中は風速計が必須です。エアー遊具は風の影響を受けやすい遊具で、前述した事故にもあったように飛ばされてしまう危険性があります。JIPSAが定めた風速基準のガイドラインに従って、常に風速を確認しつつ、安全に運営するよう心がけましょう。
寿命について
エアー遊具は永久に使えるものではありません。種類・使用環境・保管状況によっても寿命が変わります。一概にはいえませんが、おおよそ4年程度がエアー遊具の寿命です。
特に、天候の影響を受けやすい屋外での使用はエアー遊具が損傷しやすい傾向にあります。使用状況を踏まえて定期的に点検・メンテナンスをすることが大切です。
また、濡れたまま保管するのは控えましょう。カビが発生する恐れがあり、耐久性にも支障をきたします。濡れた場合はしっかりと乾燥させてから保管しましょう。
エアー遊具での事故防止のため専門業者の力を借りるのも手
もっとも安心なのは、エアー遊具の専門業者に設置・運営を依頼することです。エアー遊具の専門業者のなかには、JIPSAが認定するエアー遊具管理士の資格を持つスタッフがいます。
エアー遊具管理士とは、エアー遊具の安全管理責任者として必要な知識と技術を持った者に与えられる資格です。エアー遊具は大型かつ空気を常時注入してふわふわを保つ、特殊な遊具といえます。
知識だけでなく運営のノウハウも持ち合わせた専門スタッフによる設置・運営は、安心してエアー遊具を使う方法の一つです。
まとめ
過去には痛ましい事故もあったエアー遊具。しかし、エアー遊具独特のふわふわとした浮遊感と目を引く存在感は、イベントにとってうってつけの遊具といえます。子どもにとって楽しめる遊具となるよう、使用方法を正しく守り、専門業者とともに安全に運営することが大切です。